眠りの必要性
眠ることは脳を休めること

眠りは、神経と脳の疲労を回復させます。筋肉の疲労は、安静と栄養で回復させますが、脳の疲労はただ安静と栄養だけでは回復しません。2昼夜眠らないと、肉体的にも精神的にもさまざまな障害が現れ、日常の活動も快適に行えず、時と場合によっては生命に関わることさえあるのです。
基準量のない睡眠時間
「人は24時間のうち、その1/3(8時間)を眠ること」と最初に定めたのは、マイモニィディズ(Maimonides.1135~1204)です。そこには、何の科学的根拠もなかったのですが、いつの間にか多くの人々がそれに従うようになりました。
睡眠は長さだけでなく、深さ、質が問題です。また、睡眠時間は相対的、個人的問題ですので、必要な睡眠時間の絶対的基準量というものはありません。
ナポレオンは3~4時間しか眠らなかったといいますし、エジソンも4時間(あるいは2時間)しか眠らなかった、といわれています。エジソンは84才まで健康で旺盛な創造活動を続けています。だからといって、誰でもが4~5時間眠ればそれでよいかというと、これまで7時間眠ってきた人が、4~5時間しか眠れなくなったとすれば、それは不眠症ということになり、必ず、不満、不快、疲労感、活力の喪失、身体のだるさ、食欲不振、頭痛などの症状が起こりはじめます。
もし、睡眠時間が短くても、何ら変調を起こさず活動的で快適であるのであれば、適当な睡眠をとっているということになるのです。
睡眠不足は仮眠でカバー
多忙な現代人にとって1日に8時間以上眠るなどということは夢のまた夢。普通の人々は毎朝眠いのを我慢して、学校や会社に向かっていることでしょう。壮快な気分で朝を迎えるのは至難の技で、残業や付き合い、受験勉強などがつづくと、ますます睡眠不足になる・・・。
どうしても夜眠る時間が十分にとれない場合は、仮眠をうまく利用するという手があります。(10分間の仮眠は、夜の睡眠の1時間分に相当するという説もあります)。ただし、仮眠はせいぜい15分まで、それ以上眠ると、脳は深い眠りに入ってしまい、起きたときに頭がボーッとして、かえって睡眠が十分とれなかったときと同じような状態になってしまいます。しかし、人のリズムの眠け1.5時間(約1.5時間の睡眠直後は覚醒しやすい浅い眠りに入るというリズムがある)を目安に、そのリズムを利用して1時間30分程度の十分な昼寝をとり、その後、体温上昇や覚醒レベルをあげる行動によって、能率を上げる方法もあります。
一日4時間しか眠らなかったというナポレオンも、実は行軍の途中で、しばしば仮眠をとっていたようです。睡眠不足には、仮眠が効果的だとはいえ、いたずらに夜の睡眠時間を減らしても、逆に仕事や勉強の効率が上がらなくなって、逆効果になる可能性が高いですよ。基本的には、夜の睡眠、昼間の活動が基本となっていることは言うまでもありません。